コラム

相続税への備えはされていますか?

2026年05月20日(水)

相続税への備えはされていますか?

相続税というと「一部の富裕層だけに関係するもの」と思われがちですが、近年は不動産価格の上昇などの影響で、一般的なご家庭でも課税対象となるケースが増えてきています。枚方市や寝屋川市、交野市でも、一部の地域の土地や建物の価格が上昇しているため注意が必要です。相続税は納付期限が定められており、金額も高額になることが多いため、事前の対策が重要になります。
最近では、有名女優の約20億円の遺産に対する多額の相続税の支払いが難しいとして、相続人である息子が相続を放棄したというニュースが話題となり、国会でも取り上げられました。そこで今回は、相続税の基本的な仕組みと代表的な対策について解説します。

 

相続税の基本ルール

相続税の申告と納付は、相続があったことを知った翌日から10か月以内に行う必要があります。その間に、葬儀や四十九日、準確定申告(亡くなった方のその年分の所得税申告)、名義変更や死亡届の手続きなどを進めながら対応しなければなりません。一定の条件を満たすことで、延納(分割払い)や物納(不動産や株式での納付)も可能ですが、原則としては現金で一括納付することになります。
相続税は、預貯金や不動産、株式、自動車、骨董品、貴金属など、被相続人のすべての財産から、借入金などの債務や葬儀費用を差し引いた残額を基に計算されます。その後、住所地を管轄する税務署へ申告・納税します。例えば枚方市にお住まいだった場合は、枚方税務署が管轄となります。

 

相続税はどの程度から発生するのか?

債務や葬儀費用を差し引いた財産総額が、基礎控除額を上回った場合に課税対象となります。

 

基礎控除額

3,000万円+(600万円 × 法定相続人の人数)

例えば、配偶者と子ども2人の計3人が相続人の場合、3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が控除額となります。さらに「配偶者の税額軽減制度」により、配偶者が取得した財産が法定相続分以下、または1億6,000万円以下であれば、相続税はかかりません。これを超えた部分に対して課税されます。
相続税の計算では、基礎控除後の金額を法定相続分で分割したと仮定し、それぞれに10%〜55%の累進税率を適用して税額を算出し、合計額を出します。その後、実際の遺産分割の割合に応じて各相続人の負担額が決まります。
以下は参考として、相続人ごとの法定相続分、法定相続分に応じた課税価格の金額ごとの税率と控除額です。

 

<配偶者と子供が相続人である場合>

配偶者が1/2、子供が(2人以上のときは全員で)1/2

 

<配偶者と直系尊属が相続人である場合>

配偶者が2/3、直系尊属が(2人以上のときは全員で)1/3

 

<配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合>

配偶者が3/4、兄弟姉妹が(2人以上のときは全員で)1/4

法定相続分に応じた課税価格 税率 控除額
~ 1,000万円以下 10% 0万円
1,000万円超 ~ 3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超 ~ 5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超 ~ 1億円以下 30% 700万円
1億円超 ~ 2億円以下 40% 1,700万円
2億円超 ~ 3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 ~ 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(例) 相続財産: 1億5,000万円
相続人 : 子供A,B,Cの3人。Aが1億、B,Cが2,500万円ずつ相続。

1億5,000万円 - 基礎控除額{3,000万円+(600万円×3人)} = 1億200万円

1億200万円 × 1/3(法定相続分で分けた場合のそれぞれの相続金額) = 3,400万円

3,400万円 × 20% - 200万円 = 1人当たり480万円(上記の税率・控除額を元に計算)

480万円 × 3人 = 相続税の総額は1,440万円

1,440万円 × 1億円/1億5,000万円(Aが相続する割合) = Aの相続税は960万円
1,440万円 × 2,500万円/1億5,000万円(B,Cが相続する割合) = B,Cの相続税は240万円ずつ

※今回の例において、仮にA、B、Cのいずれかが配偶者だった場合は、配偶者の税額軽減制度によりその配偶者の相続税はかかりません。
※相続財産に死亡保険金が含まれる場合は、後述の生命保険の(500万円×法定相続人の数)の控除枠によって、相続税は軽減されます。

 

 

相続税の納付で困るケース

現金中心の財産であれば、そのまま納税に充てることができるため問題は少ないです。しかし、現金以外の資産が多い場合には注意が必要です。

 

・不動産を多く保有している場合

不動産の評価額も課税対象となるため、資産額が大きくなりがちです。しかし不動産はすぐに現金化できないため、納税資金が不足する可能性があります。自宅の土地価格が高い場合も同様に注意が必要です。

 

・株式などの金融資産が多い場合

株式はすぐに売却可能ではありますが、相続人に運用経験がないと判断に時間がかかることがあります。また、売却時に価格が下落していると、想定より資金が不足する恐れもあります。

 

・中小企業の株式を持っている場合

非上場株は売却先が限られ、現金化が難しい一方、企業の実績によっては評価額が高くなりやすく、相続税も高額になります。また、相続人と後継者が異なると、経営権を巡るトラブルに発展する場合もあります。

 

 

主な相続税対策

生前贈与の活用

生前に財産を少しずつ贈与しておくことで、相続財産を減らすことができます。年間110万円までは非課税ですが、死亡前3年以内(段階的に最大7年まで延長予定)の贈与は相続財産に加算されます。
なお、相続人ではない孫や甥・姪への贈与であれば、相続税の対象外となるため有効な対策となる場合があります。

 

生命保険の活用

生命保険には「500万円 × 法定相続人の人数」という非課税枠があります。現金を一時払い終身保険などに振り替えることで、課税対象を抑えることが可能です。また、保険金は比較的早く支払われるため、納税資金の確保にも役立ちます。受取人を指定できる点から、遺産分割対策や事業承継にも活用できます。

 

 

まとめ

相続は何度も経験するものではないため、問題点に気づきにくいものです。また、ご家庭によっては相続の話題を避けたいと考えるケースもあるでしょう。しかし、大切な財産を円滑に引き継ぐためには、事前の話し合いや準備が欠かせません。
今回は相続税に焦点を当てましたが、「誰にどのように財産を残すか」という観点の対策も重要です。遺産分割でトラブルが生じることも少なくありません。大切な資産を確実に引き継ぐためにも、多角的に準備を進めておくことが大切です。思い立った今が、始めるベストなタイミングかもしれません。

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