コラム

【2026年8月改正】高額療養費制度が変更されます

2026年06月26日(金)

2026年8月に高額療養費制度の内容が変わります。

高額療養費制度によって、高額な医療費が発生した際の1か月あたりの医療費の自己負担額には限度額が設けられています。この高額療養費制度により、医療費による急激な家計の困窮が防がれています。しかし、長期の入院を伴う場合などは高額療養費制度だけでは家計を守れないケースもあるため、多くの人が生命保険会社の医療保険やがん保険に加入することで、安心したライフプランを実現しています。

医療保険やがん保険は、公的保障制度の不足分を補完することが役割です。今回の改正で、現在加入している医療保険の内容を見直す必要もあるかもしれません。

今回の改正のポイントは、医療費の自己負担額が短期的には負担増、長期的には負担減となります。詳しく高額療養費制度の改正ポイントを見ていきましょう。

 

 

高額療養費制度とは?

日本は国民皆保険制度により、勤務先の健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険などのいずれかの保険制度に加入しています。これらの制度によって、病院での窓口の自己負担額は原則3割となっています。
さらに、3割負担でもなお高額な医療費が発生した場合に、1か月あたりの医療費の自己負担額の限度が設けられています。これが高額療養費制度です。現在、高額療養費制度が適用された場合の自己負担額は以下の通りです。年齢と年収によって、自己負担額は異なります。また、直近12か月以内に複数月にわたり高額療養費制度の適用を受けた場合は、4か月目以降は多数回該当となり、さらに自己負担額が軽減されます。

 

70歳未満

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770万円~ 1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370万円~ 770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円

 

70歳以上

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当
通院(個人ごと) 入院および通院(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%  140,100円
年収約770万円~1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%  93,000円
年収約370万円~770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円 44,400円
住民税非課税 8,000円 24,600円
うち、所得が一定以下 15,000円

例えば、70歳未満・年収約770万円~1,160万円・医療費100万円が続いたケースで考えると、

 

167,400円+(1,000,000円-558,000円)×1%=171,820円となり、
1か月の自己負担額は171,820円です。

 

さらに、1年間高額療養費の適用を受け続けたケースで考えると、

 

171,820円×3か月=515,460円
93,000円(多数該当)×9か月=837,000円
515,460円+837,000円=1,352,460円となり、
1年間の自己負担額は1,352,460円となります。

 

※入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療や自由診療は上記の費用とは別で請求されます。

 

このように医療費は、保険適用であれば高額療養費によって限度額があるため、家計への急激な負担はある程度は抑えられる仕組みになっています。
高額療養費が適用となる場合は、加入している保険組合、協会けんぽ、国民健康保険から、自動支給または申請により、限度額を超えた金額が払い戻されます。もしくは、あらかじめ医療費が高額になることが分かっている場合は、「マイナ保険証」、または事前に保険組合や協会けんぽで申請をして交付を受けた「限度額適用認定証」を提示すれば、病院での窓口での支払いから高額療養費制度が適用された金額のみが請求されます。
しかし、以下の費用は保険適用外のため高額療養費とは別で請求されます。

  • 入院時の食事代
  • 差額ベッド代(部屋代)
  • 先進医療や自由診療

差額ベッド代は、個室を利用する場合は思いのほか負担になります。枚方市、交野市、寝屋川市などの病院(星が丘医療センター、枚方市民病院、交野病院、関西医科大学香里病院など)でも、入院時に個室を選択すると1日あたり1万円以上かかる病院が多く見られます。
また、がんなどの長期の治療を要する場合、高額療養費があっても医療費は高額になっていきます。また、入院中で仕事ができない間は、収入の減少も考えられます。これらの費用も考えた上で、医療保険やがん保険の内容を検討しましょう。

 

※勤務先の健康保険組合に加入している場合は、独自の追加給付があり更に負担が小さくなる場合があります。健康保険組合のページで確認してみましょう。

 

参考:厚生労働省(高額療養費制度を利用される皆さまへ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

 

 

2026年8月の高額療養費制度の変更ポイント

主な変更点は以下の2点です。

・年齢と年収ごとの1か月あたりの限度額の引き上げ

・1か月あたりの限度額だけでなく、年間の限度額を新設

年齢と年収ごとの限度額が引き上げられるため、短期的に高額な医療費が発生した場合は自己負担が増える一方で、年間上限が新設されることで、長期治療における総負担は抑えられる仕組みへと見直されています。以下が2026年8月以降の高額療養費制度の一覧です。

 

70歳未満

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当 年単位の上限額
年収約1,160万円~ 270,300円+(医療費-901,000円)×1% 140,100円 1,680,000円
年収約770万円~1,160万円 179,100円+(医療費-597,000円)×1% 93,000円 1,110,000円
年収約370万円~770万円 85,800円+(医療費-286,000円)×1% 44,400円 530,000円
~年収約370万円 61,500円 44,400円 530,000円
住民税非課税 36,900円 24,600円 290,000円

 

70歳以上

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当 年間上限額
通院(個人ごと) 入院および通院(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 270,300円+(医療費-901,000円)×1% 140,100円 1,680,000円
年収約770万円~1,160万円 179,100円+(医療費-597,000円)×1% 93,000円 1,110,000円
年収約370万円~770万円 85,800円+(医療費-286,000円)×1% 44,400円 530,000円
~年収約370万円 22,000円(年間上限21.6万円) 61,500円 44,400円 530,000円
住民税非課税 11,000円(年間9.6万円) 25,700円 24,600円 290,000円
うち、所得が一定以下 8,000円 15,700円 180,000円

先程と同じように、70歳未満・年収約770万円~1,160万円・医療費100万円が続いたケースで考えると、

 

179,100円+(1,000,000円-597,000円)×1%=183,130円となり、
1か月の自己負担額は183,130円です。

 

1年間、高額療養費の適用を受けたケースでは、年間の限度額により自己負担額は1,110,000円となります。

 

※入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療や自由診療は上記の費用とは別で請求されます。

 

2027年8月にも改正があります

この改正では、年収の区分が以下のように細分化されます。

 

70歳未満

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当 年間上限額
年収約1,650万円~ 342,000円+(医療費-1,140,000円)×1% 140,100円  1,680,000円 
年収約1,410万円~1,650万円 303,000円+(医療費-1,010,000円)×1%
年収約1,160万円~1,410万円 270,300円+(医療費-901,000円)×1%
年収約1,040万円~1,160万円 209,400円+(医療費-698,000円)×1% 93,000円  1,110,000円 
年収約950万円~1,040万円 194,400円+(医療費-648,000円)×1%
年収約770万円~950万円 179,100円+(医療費-597,000円)×1%
年収約650万円~770万円 110,400円+(医療費-368,000円)×1% 44,400円    530,000円   
年収約510万円~650万円 98,100円+(医療費-327,000円)×1%
年収約370万円~510万円 85,800円+(医療費-286,000円)×1%
年収約260万円~370万円 69,600円
年収約200万円~260万円 65,400円
~年収約200万円 61,500円 34,500円 410,000円
住民税非課税 36,900円 24,600円 290,000円

 

70歳以上

所得区分 自己負担限度額(月額) 多数回該当 年間上限額
通院(個人ごと) 入院および通院(世帯ごと)
年収約1,650万円~ 342,000円+(医療費-1,140,000円)×1% 140,100円  1,680,000円 
年収約1,410万円~1,650万円 303,000円+(医療費-1,010,000円)×1%
年収約1,160万円~1,410万円 270,300円+(医療費-901,000円)×1%
年収約1,040万円~1,160万円 209,400円+(医療費-698,000円)×1% 93,000円  1,110,000円 
年収約950万円~1,040万円 194,400円+(医療費-648,000円)×1%
年収約770万円~950万円 179,100円+(医療費-597,000円)×1%
年収約650万円~770万円 110,400円+(医療費-368,000円)×1% 44,400円    530,000円   
年収約510万円~650万円 98,100円+(医療費-327,000円)×1%
年収約370万円~510万円 85,800円+(医療費-286,000円)×1%
年収約260万円~370万円 28,000円
(年間上限216,000円)
69,600円
年収約200万円~260万円 65,400円
~年収約200万円 22,000円(年間上限216,000円) 61,500円 34,500円 410,000円
住民税非課税 13,000円(年間上限96,000円) 25,700円 24,600円 290,000円
うち、所得が一定以下 8,000円 15,700円 180,000円

 

この細分化で、多くの区分で1か月あたりの自己負担額は、一部でさらに高くなります。先ほどの例を、70歳未満・年収区分は約1,040万円~1,160万円に変更・医療費100万円が続いたケースで考えると、

209,400円+(1,000,000円-698,000円)×1%=212,420円となり、
1か月の自己負担額は212,420円です。

1年間、高額療養費の適用を受けたケースでは、年間の限度額により自己負担額は変わらず1,110,000円のままです。

※入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療や自由診療は上記の費用とは別で請求されます。

参考:厚生労働省(高額療養費制度の見直しについて(イメージ))
https://www.mhlw.go.jp/content/001694479.pdf

 

 

まとめ

高額な医療費が発生した場合の自己負担額が2026年8月以降変わります。多くの場合で、短期の医療費は負担増、長期では負担減とメリット・デメリットがありますが、新制度を踏まえた上での備えに見直す必要があります。過大な保障になるようであれば保険料の削減になり、過少な保障になっている場合は万が一に収支のバランスが崩れる恐れがあります。

また、少子高齢化の進行により、高額療養費を含む公的保障制度は今後も縮小が予測されています。

必要があれば、その都度、改定後の制度に合わせて医療保険やがん保険の内容を見直しましょう。

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